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日の守護者【鬼滅の刃】

第8章 異変


『炭治郎が居ない?』


しのぶの部屋を後にし、炭治郎達の部屋に入ると善逸が少し焦ったように寄ってきた。
炭治郎が蝶屋敷を抜け出しているという。



「あいつ腹の傷かなり深かったのに……どこ行っちゃったんだが……」



名前には心当たりがあった。
煉獄に最期の言葉を託されていたのは聞いていたが、まだ自分の傷も治っていないのに。


名前がそう考えていると、善逸が名前の顔を覗き込んだ。


「名前さんも、大丈夫ですか?」
『え?』
「なんかその、名前さん程の人でも落ち込むんだなぁって。ああいや!別に悪気はないですっ!ただ、名前さんの音が乱れてるなぁって……」



善逸は耳がいい。
煉獄の事や腕の傷の事もあり、考える事が多かった。
善逸に見透かされてしまうとは思っていなかった。




『ああ、まいったな。確かに、色々考えてしまって……』
「ですよね……でも安心しました」
『どうして?』


安心したという善逸に疑問が浮かぶ。
善逸は布団に戻るとゆっくりと座った。


「なんか、名前さんも普通の人だなぁって思うんです」



ーー




「ん……?誰か来た……」


ふと善逸が誰かの足音を感じたのか顔を上げた。
名前も気づいたのか扉の方を見る。
段々と近くなる足音は激しく大きくなっていき……




「ゴラァァァ!!!刀を無くすとはどういう了見だ貴様ァァァ!!!」




荒々しく扉を開けたのは、炭治郎の刀鍛冶である鋼鐵塚だった。




「ヒィィ!!!誰ぇぇ!?なんなのこの人っ!!」
『は、鋼鐵塚さん?』



善逸と名前は驚きながら鋼鐵塚を見る。
鋼鐵塚の方は二人を見ると、目当ての炭治郎が居ない事に気づいた。
顔を知っている名前の方に鋼鐵塚は無言で近寄る。
両手には切れ味が凄そうな包丁。



『あー……炭治郎なら、出てます……もうすぐ帰ると思います……』



気迫に推され苦笑いながら伝える。
鋼鐵塚は息を荒くさせながらくるっと回ると部屋を出ていった。



『炭治郎、すまん……』



この後炭治郎に待ち受けるであろう災難に、名前は小さく謝罪を呟いたのであった。
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