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日の守護者【鬼滅の刃】

第7章 無限列車


『上弦……』


隊士の言葉に、名前は顔を強ばらせる。
上弦の鬼は、柱三人分の力を持っている。
何人もの柱が上弦に殺されている。

「天柱さま、怪我を……!?」
『問題ない、それより状況は』
「はいっ……鴉の報告によると、下弦の壱との戦いの末、列車は脱線。その後、上弦の参が現れた模様です」

上弦の参。

その力は計り知れない。
下弦の鬼とは天と地の差があるだろう。



『皆はこの駅で待機。お館様に報告を。それと隠と日が登ったら現地まで向かってくれ』
「天柱さまは……」
『俺はこれから向かう』


名前は噛まれた傷口を布巾で縛ると、線路に出た。
足に意識を集中させ、深く息を吸う。
名前の周りの空気が震え、風が巻き起こる。

「わっ」

隊士がその風に目を一瞬閉じ、再び目を開けると。



そこにいた名前はいなくなっていた。




ーー



内蔵が潰れた。
左目も潰れた。
肋骨が折れ、呼吸がしにくい。



煉獄は上弦の参、猗窩座との戦いで傷を負っていた。
それは常人ならば致命傷であり、動けるはずがない。
しかし煉獄は立っている。

自分の責務を全うするために。


軋む体を動かし、大きく、深く呼吸をする。


煉獄の周りに炎が纏う。



「炎の呼吸、奥義……玖ノ型!!煉獄!!!」



すさまじい轟音と、地響き。
一瞬にも満たないその刹那。
二つの影が勢いよくぶつかり、砂埃を立てた。


「煉獄さん、煉獄さん……!」



炭治郎はその様子を見ていることしかできなかった。
助太刀に入る隙すらもなかったのだ。
やがて、砂埃が晴れ、その姿が見える。


が。


「あ……ああ……っ、あ…」


猗窩座の腕が、煉獄の鳩尾を貫いていた。


「死ぬ!死んでしまうぞ杏寿郎!!」


猗窩座が叫ぶ。
煉獄は走馬灯のように昔、母に言われた事を思い出した。
そして、再び刀を強く握り、猗窩座の頸に刀を振るった。

しかし、刀は頸の真ん中で止まり、振り切ることが出来ない。



「ウオオオオオッ!!」



もうすぐ夜明けだ。
日に当たれば猗窩座は死ぬ。
意識が飛びそうになるのを必死に耐え、刀を押し込む。



その瞬間。


『煉獄さんっ!!!!』


名前が炭治郎達の横を通り過ぎ、煉獄の刀を押し込むように自らの刀を振るった。
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