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日の守護者【鬼滅の刃】

第7章 無限列車


『兄さん……』




気配の元を辿る。
懐かしい気配、だが、禍々しい気配。


久しぶりに見る兄は、豹変していた。
肌は生気が無く、髪は無造作に伸び、白目が黒く濁っていた。
仲の良かった兄の姿はもう無かった。



「久しぶりだなぁ、名前」


鬼舞辻に鬼になるための血を貰い、その場で父と母を骨まで貪った。



『なぜ、鬼に』
「そりゃあ、名前、お前を殺すためだよ」



ピリっと、肌に痛みが走る。
兄とはもう分かり合えないのか。
ただ純粋に、一緒に剣を振るいたかっただけなのに。


「簡単には殺さないさ。上弦になってやる。上弦になって圧倒的な強さでお前を殺すんだ」


兄にはもう名前の言葉は届かない。
ただ一つ出来る事は、今ここで殺してあげることだけだ。


名前は刀を構える。
呼吸を整え、兄の元へ跳ぶ。



「馬鹿だなぁ、名前」




速かった。
確かに速い太刀筋だったが、最初に天の呼吸を使わなかったのがいけなかった。
名前は兄の力を見誤っていた。
人間の時と同じように、いつも稽古でやっていたように。



『がっッ』


拳が名前の頭を捕え、勢いよく地面に叩きつけた。

とっさに呼吸を使い受身を取ったが衝撃は凄まじかった。
そのまま兄は名前の首を掴むと刀を持つ右腕に噛み付いた。



『うっ、ぐ……』
「ははっ!!」

血が吸われる感覚に表情を歪め、離れようと兄を蹴り飛ばす。
名前の血を吸った兄は嬉しそうに口の周りに着いた血を舐めとった。




「血縁の血ほど……俺を強くする!!これで!上弦に!」


名前はもう元に戻らない兄を見て悲しみの表情を浮かべた。





無意識の内に、兄を下に見ていた。
呼吸を使わずとも倒せると思った。




血の滴る腕を抑えながら、名前は立ち上がる。



「次に会う時はもっと強くなっているぞ!!血を吸ったからな!!」



そう言うと、兄は名前を殺すことなくその場から消えた。
名前は兄が居た場所を見つめ暫し放心状態だった。



「天柱!大丈夫ですか!!」


騒ぎを聞きつけた鬼殺隊士が名前に寄ってくる。
そして、告げられた。


「天柱さま!!無限列車に、上弦の鬼がっ!」
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