• テキストサイズ

日の守護者【鬼滅の刃】

第1章 序章


柱になる気はないよ。


その言葉に鬼殺隊員は眉をひそめる。
富岡様が居るからだろうか。いや、それにしては何か違和感を感じるような。


「そ、そうか。なんか悪かったな…なんか事情があるんだな」
『気を遣わせてすまない』


少し寂しそうな顔をしていた名前だったが、ふっと普段の表情に戻ると席を立つ。


『さて、俺は次の任務に向かわないと』
「あ、ああそうだったな。ここは俺が奢るよ」

鬼殺隊員は懐から財布を出そうとする名前の手を止め自身の財布を出した。

『いいのか?』
「昨日、俺が鬼に襲われていた人を逃がす間、あの山の鬼を全滅させた礼だよ。おかげで助かった」

昨夜。
月明かりがあるせいがいつもより夜道を歩く人が多かった。
結果、鬼が通常よりも活発に人を食い荒らしていた。
全ての人を助ける事は出来なかったが、確かに救われた命もある。



『じゃあ、お言葉に甘えて』



旅人が涙を流しながらお礼を言った姿を思い出し、名前は晴れやかに笑った。




.......




『お早うございます、輝利哉様、かなた様』


数日後、名前は日が登る前の静かな藤襲山に居た。
最終選別の最終日であり、生き残った者達を集め、産屋敷耀哉へと報告する日だ。

産屋敷の息子の輝利哉と娘のかなたが綺麗に頭を下げる。

「名前さん、それではよろしくお願いいたします。生き残った子達をこの場所へ導いてください」
『承知しました』


輝利哉とかなたの切り揃えられた髪がふわっと靡いた次の瞬間、名前の姿は藤の花の奥に消えていった。
/ 110ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp