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日の守護者【鬼滅の刃】

第1章 序章


雨の季節が終わり、日照りが続くようになった大正のある日。


『今年もこの季節になったなぁ』


鬼殺隊の隊服を身にまとった苗字名前は目を細めながらそう呟いた。
町外れの茶屋の外にある木製の長椅子に座り、温かいお茶を啜りながら呟く様は年相応ではなく、隣に座るもう一人の鬼殺隊員が苦笑いを浮かべた。


「なに爺さんみたいな事いってるんだよ」
『違う違う、最終選別の時期だなぁって。今、今年の選別の真っ最中だろう?』



最終選別。
鬼殺隊に入るための過酷な試験。
毎年受ける人は多いが、生き残り通過する人数は少ない。



『俺、お館様から最終日の案内任務を仰せつかってるんだよね』


(名前)がそう言うと隣の鬼殺隊員は目を丸くして(名前)を見た。


「へー、なにやるんだ?」
『ああ、生き残りの子達を集合場所に導く役目なんだけどね』

そんな大したことではないよ、と付け足す名前に鬼殺隊員は名前の肩を叩く。

「なに言ってんだ、お館様直々にだろ。誰にでも出来ることじゃない」
『そうかな』

鬼殺隊の任務は大体が鴉経由に入る。お館様…鬼殺隊当主の産屋敷耀哉直々に任務を言い渡される事は「柱」でもない限りそうそうない。


「あーあ、同期だってのに、どんどん名前と差が開いちゃってるよ。名前、富岡様が居なかったらすぐに水柱になれるよ」

『そんな事言ったらいけないよ』




少し低い声で鬼殺隊員の失言を叱る。
水の呼吸を扱う名前に柱と同等の力があると知っている鬼殺隊員だが、あくまで現水柱は富岡だ。
鬼殺隊員はいけないと思ったのか口元に手を当て誰か他の人が聞いていないか目線を周りに移した。

『今のは聞かなかった事にするよ』
「わ、わりぃ。それより、なんで富岡様の継子にならないんだ?階級、甲だろう?実力も素質もすでに柱と同等だと思うぞ」

その言葉に名前は少しだけ間を開け、苦笑いする。



そして、小さく呟いた。





『俺は柱になる気はないよ』
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