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日の守護者【鬼滅の刃】

第2章 歯車が動き出す


古い本で読んだ……
日の呼吸の剣士がその昔鬼舞辻と対峙した事。
その後日の呼吸を継ぐ者が鬼舞辻に次々と殺されている事。

だから一族を分けた。
日の呼吸を絶やさないために。

本家と分家に分け、分家は鬼舞辻に目をつけられないように日の呼吸を継承しなかった。
日の呼吸を使う者がいなくなってからも、分家はいつか現れるであろう、「受け継ぐ者」を探している。
それが使命だと教わり、そのために剣の腕を磨いた。




「そうですか、そうだったのですね」

珠世は名前の事情を聞くと身震いするように両手で自身を抱いた。





『珠世さん、日の呼吸を受け継ぐ者は居ます。そして、俺が必ず護ります。鬼舞辻無惨は絶対に倒せます』




名前は珠世を信じ、そう語りかける。
珠世は瞳に涙を滲ませ、力強く頷く。
そして名前は、不確定ではあるがひとつの事を珠世に伝える。


『左の額に痣があり、花札の耳飾りをした鬼殺隊士が居ます。まだ分からないが、日の呼吸を受け継ぐ者かもしれない』
「花札の耳飾り……痣……」

珠世は何やら記憶を思い出しているようだった。


『この先……運良く出会う事が出来たら、手助けをしてもらえないだろうか。きっと、貴女は彼が必要だと思う』
「分かりました……」



珠世は穏やかに笑った。








「最近、鬼舞辻の気配をこの浅草周辺で感じるのです」



名前が珠世の家を出る直前に、珠世が名前を引き留めて言った。
そういう事は先に言ってくれ、と名前は内心思うが扉に掛けた手を外して珠世に向き直る。



鬼舞辻は姿形や気配を自由に変えられる事ができるらしい。
柱でさえ、未だ鬼舞辻と遭遇した者は居ない。
だからこそ、鬼舞辻は名前の中でもどこか机上の話であった。
そんな鬼舞辻が、近くに居る可能性がある。



「しかし鬼舞辻はそう簡単には姿を現さないでしょう。でも潜伏先が分かればあなた方にも有利でしょう」




鬼舞辻は今の自分一人では絶対に倒す事はできない。
上弦の鬼でさえ柱一人以上の力がある。

つまり今は鬼舞辻を探すより報告が先だ。

それを珠世も分かっていて名前にこの情報を伝えたのだ。



『ありがとう』



日の出より前に、名前は浅草から姿を消した。
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