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日の守護者【鬼滅の刃】

第2章 歯車が動き出す


名前が浅草を去って二日後。



珠世は愈史郎と共に夜の街を歩いていた。
鬼舞辻の気配が濃くなったからだ。
浅草の人混みに紛れ、気配を探る。


すると人混みの遠くの方で、悲鳴が上がる。



「貴様ら何をしている!?」


警官の声。何かあったのだろうか。
見物人や逃げ惑う人などで混乱し、ふと珠世と愈史郎の前が空いた。


「止めてくれ!!この人に誰も殺させたくないんだ!!!邪魔をしないでくれお願いだから!!!」



気配で分かる。一人は鬼。
そしてその鬼を押さえているのは


「痣に耳飾り……珠世様」


愈史郎も気づいているようだった。
先日名前が言っていた日の呼吸を継承しているかもしれない人。

そして何より……

鬼になった者を、人と呼んでくれている。




「こんなにも早く出会う事ができるなんて……」



鬼舞辻の気配が遠のく。
しかし今は追うべきではない。
私達がするべき事は


「惑血……視覚夢幻の香」






……



『報告は以上です』


同じ頃、名前は産屋敷邸に居た。
広い庭に片膝を付き、名前は顔を上げ産屋敷を見ていた。
先日の鬼舞辻の所在と珠世、愈史郎について産屋敷に報告し終わる。

今まで鬼舞辻の消息は有力な情報が無かっただけに、産屋敷はその報告に歓喜した。
おまけに鬼側に鬼舞辻を倒そうとする者の存在をも知れた。


「よくやってくれたね、名前」
『しかし鬼舞辻の居場所は未だに特定出来ず……申し訳ありません』


名前は産屋敷に頭を下げる。
産屋敷は日に日に病が進行しているようで、喜ぶ姿もどこか辛そうで名前は視線を外す。
そんな名前を気遣ってか、産屋敷は話題を変えた。


「名前は鬼殺隊に入って四年目だったかな」
『……?はい、そうですが』


名前は疑問に思いながら返事を返す。


『お館様……?』

「次の柱合会議で、名前を柱に昇格させようと思う」





名前は目を見開く。そしてすぐに、首を横に振る。


『いえ……まだ力不足です』
「名前」




胸の奥がはっきりと鼓動するのを感じる。
掌に汗が滲むのを感じながら、産屋敷を見る。





「君には……「天の呼吸」があるだろう」




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