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日の守護者【鬼滅の刃】

第2章 歯車が動き出す




あの時の?



名前は心当たりが無かった。
この女の鬼に出会ったのも初めてだ。


「あ……いえ、そうですよね……もう四百年も前ですもの……生きているはずがありませんね……」
『……何を言っている?』


女の親は名前を見るなり独り言のような事を呟き始める。
名前はつい怪訝な顔で聞き返した。



「貴方と争う気はありません……わかりやすく言えば、私達は鬼舞辻を抹殺したいと思っている」

『鬼舞辻を?』


鬼舞辻無惨は全ての鬼の始祖である。
鬼舞辻は呪いという形で鬼達を拘束し、支配し、破れば殺される。
故に鬼達は鬼舞辻に楯突くことができない。
言葉に出すことも出来ず、思考さえも支配に置く。


鬼側の知識は産屋敷や柱達の話で聞いた事がある。
しかしその呪いの影響が無い鬼は初めて見た。


いや、初めてではない。



つい先日、炭治郎の妹の禰豆子もまた、普通の鬼ではなかった。


「珠世様……俺は鬼狩りとは関わりたくないです」


男の鬼は珠世と呼ばれた女の鬼に言う。


「愈史郎、ここでこの方と出会ったのも何かの縁です」


珠代は名前の方を向く。


「少し、私の家で話をさせてください」







大通りから外れた人通りの無い一本道。
一見何も無いように感じるその道の真ん中に、その入り口はあった。


愈史郎という男の鬼の血鬼術で隠されていた家に招かれた名前は周りを警戒しながら二人の後を追った。


部屋は洋風の医者の診察室にも似ていた。

程なくして、珠世が名前に椅子に座るように促し、名前が座ると珠世自身も座った。
愈史郎は席を外しているようだが、この部屋の様子をずっと伺っている気配がする。



「私と愈史郎は人の血を少量飲むだけで事足ります。なので、警戒を解いて頂けると嬉しいのですが」
『そうしたいんだが、どうも鬼だと思うと』
「まぁ、無理もないですが……お名前をお伺いしても?」
『……苗字名前だ』


珠世は名前を聞くと少し口篭るが、意を決した様に名前に向き直る。


「……名前さん、単刀直入に聞きます。貴方は「日の呼吸」をご存知ですか?」




(名前)は目を見開いた。
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