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日の守護者【鬼滅の刃】

第11章 兆し


朝日が眩しいとある朝。
名前は鬼狩りの任務を終え、帰路についていた。
しかし、その足は自邸に向かうのではなく、ある場所へと向かっていた。


立派な塀が長く続き、そして門が見えてくる。
その門の前に来ると、名前は大きく息を吸い、ゆっくりと吐き出した。
そして、その門をくぐる。

表札には、「煉獄」の文字。

『御免ください』

玄関の扉の前でそう言う。
数秒後、軽快な足音と共に扉が開く。


「あ、貴方は……」
『朝早くにすいません』


出てきたのは煉獄をふた回りほど小柄にした少年。


「えっと……もしかして、苗字さんでしょうか」
『……はい、そうです。苗字名前です』
「そうでしたか。兄や炭治郎さんから聞いていたので……」


その少年は煉獄の弟で千寿郎と言った。
千寿郎は名前が何をしにきたのか察したのか、快く家に入れてくれた。


『ありがとうございます』
「いえ、いいんですよ。……こちらです」


廊下を暫く行き奥の部屋へと入ると、そこには真新しい仏壇があった。
名前は振り返って道を開ける千寿郎に小さくお辞儀をすると、仏壇の前に座った。


『煉獄さん、来るのが遅くなってしまいすいません』



返事が返ってこないと分かっていても、そう言葉に出さずにはいられなかった。
ゆっくりと手を合わせ、暫くそのまま目を閉じ俯いていた。




ーー





「兄を看取って頂いて、本当にありがとうございます」


仏壇に手を合わせた後、千寿郎がお茶を持ってきてくれたので、お言葉に甘えていただく事にした。
一口飲んだ後にそう感謝の言葉を言われ、名前は思わず湯のみを置いた。


『いえ、そんな感謝される事はしていません。俺がもっと早く駆けつけていれば、煉獄さんは死なずに済んだんです』


皆に気にするなと慰められ、一時は忘れようとしていた無力感。
しかし、それは現実からただ逃げているだけだった。
その証拠に、煉獄の家に来るのがここまで遅くなってしまった。

二人の間に沈黙が流れる。





「気にするな、杏寿郎もそこまで気にしてないさ」


その沈黙を割いたのは、煉獄の父の槇寿郎だった。
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