第5章 温かなハーブティー
村の北側。上昇気流がいくつも発生している不思議な環境の谷に、一行は移動してきた。
その谷の傍には、村で見たよりもやや大きめの櫓があり、谷に向かって板が伸びている造りになっている。
雪はすっかり止んでいて、暖かな陽射しまで降り注いできている。
ここは、リトの村民たちが空中戦の訓練に使っている「飛行訓練場」だった。
リーバル自らが設計・考案し、リトの戦士は必ずここで鍛錬をし、立派な戦士として旅立っていくところだ。
梯子を昇るとそこは休憩所のようになっており、毛布や薪や火打石など、一晩は過ごせるような備蓄品が一通り揃っている。
管理が行き届いている証拠だ。
幸い、火を起こすほどの気温ではなかった。
雪焼けに目を細めながら、は梯子の上まで昇った。
中には入らずあくまで梯子に足をかけたまま、中で話すゼルダたちの様子を伺う。
「その子と同じ形のガーディアンというのは、気にかかりますよね、姫様」
インパの怪訝そうな声に、小さなガーディアンは、ポペ?と音を立てた。
彼女の言葉の通りだ。リーバルが嘘を言っていた訳では無いことも分かったし、恐らくもう一つガーディアンが存在しているということだ。
しかもこの子とは違って、悪行に走っている。
「もし厄災と何らかの関わりがあるのなら、対策を急がなければなりませんね」
不安そうなゼルダの顔を見ていると、こっちまで悲しくなってしまう。そんな気持ちを他所に、リーバルが声を上げた。
「それで、僕の力が必要なんだろう?その神獣とやらを動かすのにさ」
言い方に難はあるが、全くその通りだった。彼以外に、神獣を動かせる適任者はいない。
神獣ヴァ・メドーは、神獣の中で唯一空を飛ぶことができる。それもかなり高いところにいるので、高所と寒冷に耐えられるリト族に頼むのが最適解だ。
はゼルダに、「リーバルはやめておいた方がいい」と言うのをすっかり言いそびれてしまっていたし、彼も彼で乗り気なようだ。
しかし、寝食共に長旅をする訳ではなさそうだ。それに、厄災という巨悪を前にして、そんなワガママは言っていられない。
今は耐えよう、我慢しよう。
が1人で考え納得した時、リーバルはリンクの方へに距離を詰めていた。