第5章 温かなハーブティー
あ、と彼の姿を見たは思わず声を漏らす。
リーバルの方は、不機嫌そうに鼻を鳴らすと櫓の中に入ってきた。
そんな彼の態度に業を煮やしたのか、インパはリーバルの方に向き直ると、きっと睨みつけた。
「何か言うことがあるんじゃないですか?」
インパの言葉に彼は特に悪びれた態度は見せず、ちらりとの方を一瞥すると、「元気そうだね」とだけ言った。
「貴方は!勘違いして凍えさせた結果、その態度ですか!?」
「わかったから大きな声を出すなよ」
インパにすごい剣幕で詰め寄られたリーバルは、距離を詰めてくるインパを両翼で押し宥めると、わざとらしく咳払いをした。
「…あー、悪かったよ」
毛布にくるまっているの顔はおろか目さえ見ようとせず、リーバルは小さく謝った。
到底許されるはずのない行為だ。しかし、一目見た時から例の態度だったリーバルがまさか謝るとは思わず、は謝罪を受け入れた。
「いえ、いいんです。元はといえば、私がはぐれたりしなければこんなことには…」
「もー!の遭難は仕方がないことだったんですから!そうやってまた自分を責めるようなことは言ってはいけません!」
リーバルと同じようにまさかの説教を食らったは、ぽかんと目を丸くしていたが、ぷんぷんと頭から湯気を出すインパを見ていたら可笑しくなってきて、思わず吹き出してしまっまた。
「ちょっ、何笑ってるんですか!?私は、のためを思って…」
「うん、ありがとう、インパ」
同い年の友人でもある彼女が、こうして自分のために声を上げてくれるのはとても嬉しいことだ。
姫様だってそう。目を覚ました時のあの心配そうな顔。嬉しくなかったと言えば嘘になる。
なるべくあんな顔はさせたくないが、自分のことを心配してくれた上でのことだと思うと、やっぱり嬉しい。
リーバルは、やれやれとため息をついた。当の本人がもっと怒ればいいのに、自分の非をこれでもかと探す様子が、どうも気に食わない。
どう見ても王族や政治に携わる者には見えないが、一体彼女はここではどういう立ち位置なのだろうか。
「さて、ここで盛り上がるのも構わないけど、そろそろ本題に入らないかい。と、言いたいとこだけど、ここじゃなんだから場所を変えようか」