第5章 温かなハーブティー
が上半身を起こせるようになったところで、ゼルダはいそいそと何かを準備し始めた。
しばらくすると、澄んだ香りが漂い始める。
そこで気がついたのだが、数刻前のような吹雪は止んでおり、穏やかに雪だけが降っていた。
こぽこぽと何かを注ぐ音。
ゼルダは嬉しそうに振り返ると、にカップを差し出した。
「ハーブティーです。体が温まりますから、飲んでください」
差し出されたカップは、とろっとした液体で満たされており、白い湯気と共にハーブ独特の香りが漂ってくる。
「ありがとうございます、いただきますね」
両手で受け取ると、ふうふうと少しだけ冷まして一口飲んだ。とろっとした感覚が、口内と喉を満たして、内側から温まっていくのがわかる。
熱すぎない温度で作られており、ゼルダの気遣いが伺える。
全て飲み終えた頃には意識もはっきりしてきており、インパは「顔色がよくなりましたね」と嬉しそうに言ってくれた。
「本当に申し訳ありません。ご迷惑をおかけしてしまいました」
深々と頭を下げるの肩を、ゼルダは支えた。
「酷い怪我もなく、無事でいてくれたことが何より良かったです」
優しい言葉に、はますます頭を下げた。
君主を心配させてしまったことが、何よりも申し訳なかった。
「私たちには、が必要ですから!元気になったら、また美味しいお料理、お願いしますね」
インパの明るい声には頭を上げると、「任せて、インパ」と言った。
インパはうんうんと満足そうに頷くと、腕組みをして少しだけ眉間に皺を寄せた。
「が回復したのは良かったですが…勘違いとはいえ、私たちの同行者に手荒なことをしてくれましたね」
「えぇ。兎にも角にも、彼には1度謝ってもらわなければなりません」
彼、とはきっとリーバルのことだろう。正直、今は顔も見たくないからもはや謝罪などどうでもいい。
「あの、謝罪は結構ですから、それよりも神獣の繰り手を任せることだけは辞めておいた方が…」とは言いかけたが、2人の耳には入ってないようで、挙句の果てには「今すぐここへ来てもらいましょう」とゼルダが固く言った。
だが、そんなことを知ってか知らずか、突如大きな羽音がしたかと思うと、柵にはあのリーバルが立っていた。