第5章 温かなハーブティー
──…!!!
こうして前も、「誰か」は私を呼んでいた。
溶けるような暗闇の中。冷たく湿った床。重たい手足。
その「誰か」の声を聞いた私は、心底安心していたのをよく覚えている。
あの時、誰が、私を呼んでたんだっけ…
今、私を呼んでいるのは──。
「……ひめ、さま…?」
ぼやける視界に、涙目のゼルダが映った。その涙が、ポタポタと頬に落ちてきて冷たい。
「よかった…!大丈夫ですか?」
ゼルダの声を聞きつけたのか、今度はインパが駆け寄ってきた。
「そのままでいいですからね、!」
インパの言葉の後、次々とリンクや小さなガーディアンが覗き込んできて恥ずかしくなったのか、は毛布を被って隠れた。
男性たちはちょっと離れててくださいね!というインパの大きな声が聞こえたところで、は少しだけ顔を出すと、蚊の鳴くような声で、「すみません…」と言った。
が逸れたあと、リンクはまず小さなガーディアンを発見した。小さなガーディアンは怒ったような音を出していたので、一旦ゼルダに引き渡そうと雪の中を歩いていたところで、リーバルの奇襲に遭ってしまった。
猛攻を受け、の捜索が滞ってしまっていた。しかし、ゼルダが2人の戦いを止めに入ったことで、怪我人を出さずに済んだ。
リーバルは迷惑そうにゼルダに事情を話し、その話の中で正体不明の女の身柄を預かっていることも伝えると、ゼルダはすぐにそれがだと確信した。
ここへ来た目的はそっちのけに、がどこにいるか無事なのかと問い詰めると、彼はその勢いに圧倒されて、村で大人しくしてもらってると伝えた。
てっきり無事で待っていると思い、特に急がずに村へ到着したゼルダたちが見たのは、消えた火の横で自由を奪われ、真っ白な顔で横たわるの姿だった。
再び火を灯し、毛布で包んで体を温めてあげると、顔色は徐々に戻り、ゆったりとした寝息になり始めた。
皆がの介抱に勤しむ間、終始リーバルは少しだけ気まずそうにして部屋の入口に立っていたらしい。
まさか本当に、王家と関係のある人間だと思っていなかった。彼女が嘘を言っていなかったことを認めるのは癪だが、とにかく早く回復して欲しいと思っていた。