第5章 温かなハーブティー
暴風の中、は何かに捕まえられてどこかへ飛んでいく。
顔を上げて見ようにも、襲い来る風と雪のせいで何が自分を掴んでいるのかも分からない。
華奢な肩に食い込むそれを見ると、大型の鳥のように思える。
自分は大きな鳥の餌になってしまうのか?と考えると怖くなった。
木の枝を組んで出来た巣の中に、甲高い声で鳴く大きな雛鳥が、口をパクパクして餌を欲しがる様子を想像して、ゾッとする。
寒さのせいで耳が痛くなってきたところで、の視界にふと懐かしいものが見えた。
懐かしいといっても、先程見たリトの村の岩だが。
そこへぐんぐんと近づいていく。
「(え、どういうこと…?)」
スピードが緩むことはなく、組まれた櫓の1つに放り込まれた。
雑な着陸のせいで2、3度床を転がり、柵に背中を打ったところで自由になったことがわかった。
「いったたた…」
「今日こそ落とし前を付けてもらうよ」
物騒な言葉に、は思わず声の主の方を見る。
そこには、紺色の鳥のような男が、こちらをギロリと睨みつけて立っていた。
鳥…?にしては大きい、人語を話している。
もしかして、と思いは辺りを見渡した。
自分がいるこの場所は、濃い色の木で組まれたガゼボのようだった。
しかし、絨毯や棚が置いてあり、生活感を感じる。
数時間前に、遠くから見えたところにいるようだ。
まさか、ここはリトの村…?彼は、リト族…?
翡翠のような瞳は紅く縁取られ、侮蔑のような眼差しをに向けている。
背中には、彼の背丈と変わらないぐらいの大きな弓が背負われていた。
鳥といっても猛禽類のような見た目の 彼は、なんというか、とても、美しい。
自分の置かれている状況をよそに、ついそう思ってしまった。
思わず見とれてしまったが、先の言葉を思い出す。
「落とし前?一体なんの…」
「惚けるな、忘れたとは言わせないよ。一体誰の指図で村を襲ったんだ?言え、体に穴を空けられたくなければ」
彼はそう言うと、目にも止まらぬ早さで弓を持ち矢を番えた。
この距離で撃たれたら、確実に命を持ってかれる。
「待ってください、忘れたも何も、私はそんなことしてません!」
慌てて弁明したが、彼は警戒の目を緩めなかった。