第4章 とろけるバター煮込み
モーリ橋は、馬一頭が渡れる程度の狭さだ。
並んで歩くのは気が引ける。
強い風が吹いており、当たり前だが恐怖を感じる。
橋は左右に揺れていた。
既に夕方で、日は沈みかけている。
暗くなる前に、この橋を渡り切りたいと思った時、ゼルダが声をかけてきた。
「、見てください。あそこにリトの村が見えますよ」
え、と指さす方向を見ると、特徴的な岩が見えた。
リトの村──。
うっすらだが、螺旋状に木が組まれているように見える。
そして、吹雪ている。あんな過酷なところで彼らは暮らしているのか。
「あれが、リトの村ですか…」
思わず口から出てしまったが、ゼルダは上品に笑ってくれた。
「過酷な環境で生きている種族なんです。独自の文化と伝統を持っているんですよ」
今はまだ気温はちょうどいいが、近づくにつれて寒くなってくるだろう。
ただ今は、目の前に広がる橋を渡らないことには進まない。
ゼルダは、2人ずつ順番に渡りましょうと言って、先頭を切って馬を進めて行った。
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岩場を抜けると、急勾配の坂が現れる。時刻は夜の8時ころ。
村の一番近くである、リトの馬宿に到着した。
既に雪がチラついている。
と言うよりも、風が強くて雪の粒が少し目視できるくらいだ。
一行は急いで馬宿に入り、寒さを凌いだ。
屋内にも火が用意されており、体温が下がった身体が徐々に温めれていく。
馬宿の主人は、すぐに温かいミルクを用意してくれて皆はそれを有難くもらっていた。
蜂蜜が入っているのかミルクは甘く、冷えたからだに染み渡った。
「今日はここで宿を取ります。明日の朝出発しますので、各自しっかりと休んでください」
ゼルダの言葉に、リンクや兵士たちが頷いた。
は夕食を作ろうと、荷物を下ろして調理器具を出し始めた。
果たして、外で火がつくだろうか。
馬宿に入る前に鍋が置いてあることを確認したが、使ってる気配がなかった。
それよりも、自分たち以外に客が居ない。
馬を小屋に入れ終えたの馬宿の主人に、鍋を使っていいかということと、他に客はいないのかを聞いてみた。
主人曰く、「近頃魔物が増えて物騒だし、そもそもこの馬宿を利用する客が少ない」との事だった。
久々に客が来てくれて嬉しい、と続ける彼はどことなく。楽しそうだった。