第4章 とろけるバター煮込み
南西に向かって真っ直ぐ、セレス平原の北西側まで来るともう日は高いところに昇っていた。
随分と歩いたなと考えていると、前を行くゼルダが「見てください!」と嬉しそうな声を上げた。
彼女が指さす方向を見ると、特徴的な形をした岩が覗く。
リトの村だ。
しかしには、櫓のように組みたてた村が目視できておらず、あの変わった岩がどうしたのかとゼルダに訪ねようとした。
「、あれがリトの村ですよ!」
まさかの言葉に、は、一瞬だけ疲れを忘れて驚く。
「えぇ!?村には見えませんが…」
「行けば分かりますよ」
未だピンと来ないが、それはきっと到着が待ち遠しくなることだろう。
「とても寒いんですよ!、防寒着はもちろん持ってますよね?」
遠足の先生のようにインパが聞いてきたので、「はい、インパ先生。もちろん持ってます!」と返事をした。
インパは、「もー!持ってるならよかったです!」と頬を膨らませた。
お昼すぎにタバンタ大橋馬宿に着いた。ここでは2時間ほど休憩することにした。
「ふう、夜まで持つかなあ」
調理鍋の傍にある丸太に腰かけると、ふくらはぎを強く揉んだ。既に張っている。
「何か元気の出るものを…作らないと」
ごそごそと鞄を漁り、とりあえず瓶に入ったバターと砂糖を取り出した。
食材は山菜系が多いため、果物などの甘みのあるものは持ち合わせがなかった。
持ってくるべきだったと後悔するも、もう遅い。
「お嬢さん」
突然声をかけられ、顔を上げるとそこには旅人らしき男性がこちらを見ていた。
「…私、のことですか?」
「はは、もちろん、君以外にいないだろう」
言われてみれば、ここに座ってるのは私だけ。他に誰かが座っているように視えたら、それはそれで逆に怖い。
「失礼しました、ぼーっとしてまして…」
軽く頭を下げると、男性は「いえいえ」と特に気を悪くする素振りはなく、突然包みを渡してきた。
「これは…?」
「近くの木にたくさんなってまして、恥ずかしながら採りすぎてしまったんです。長旅でお疲れでしょうから、受け取ってください」
ずっしりと重たそうな包みを受け取り、恐る恐る開けてみると、そこにはリンゴとバナナがあった。
「こんなにたくさん…!よろしいんですか?殿方の分はありますか?」