第2章 再会はこの場所で、ケーキと共に
あのあと話はすぐにまとまり、ゼルダは嬉々として兵たちと共に城へ帰って行った。
リトの村へは5日後に出発するとのことで、遅くてもその前日には城へ行かなければならない。
万が一戦火が降り掛かっても、ある程度の損害で抑えられるように、店の窓の養生や片付けなどを行わなければならなかった。
せめて皆が疎開する前にやってもらうべきだった、とは悔やんだ。
ゼルダにそれとなくこの事を話すと、彼女は驚いたように「急な命令ですから、その辺の対策については心配しないでください」と言ってくれた。
4人の兵を向かわせ、女一人ではどうしようも出来なかったところなどを手伝ってくれた。
おかげで半日で店の防災は整えられ、これなら安心して離れられるとは満足気。
来てくれた兵士達に簡単な差し入れを渡し、城へ帰ってもらった。
とりあえず必要なものだけを揃え、リュックに全部詰め込んだ。
まあ、もし忘れ物があっても取りに来ればいいか。
玄関に立ち、「あれ持ったよね、これ忘れてないよね」と指を折って確認していると、ふと壁にかかった絵が目に入る。
1枚はビストロのスタッフと店の前で笑っている絵。
もう1枚は老齢のシェフとその傍らで照れたように笑う子供の自分。
思えば彼との出会いが、私の運命を大きく変えた。いや、元よりそうなる運命だったのかもしれない。
だけど、彼が居場所を作ってくれて、取り柄を作ってくれたおかげで、今私はここにいる。
絵に向かい、は胸に手を添えると目を閉じた。