第28章 今宵はふたりで【P273〜の続き、🤍&🐾 ♟️*】
「君は、本当にあの女と『同じ』なんだな」
「!?」
その言葉にははっと彼を振り仰ぐ。
見上げた視線の先で、その唇は皮肉げに歪んでいた。
「それは、どういう………、」
意味ですか、と問いかけようとした刹那、
背後から伸びてきた指がヴァリスを取り押さえ、フェリスがその唇を重ねてくる。
「!」
唇を介して口腔内へと流し込まれた薬を、反射的に飲み込んだ直後、強烈な眠気が彼女を襲う。
眠り薬だ。それも身体中から薬の成分が完全に抜け落ちるまで、
半日か、或いはそれよりもっと多くの時間を要するような………。
身体から力が解け、否応なく瞼が下がっていく。
瞳をとじる刹那、そこにいない筈の純白の髪を持つ彼女の執事の姿を朧げに見留める。
シロ、と唇を動かした直後、ふっと意識を手放した。
◆◇◆◇◆◇
手袋に包まれた掌で軽く頬に手を打ち付けられ、ヴァリスは薄く瞼をひらいた。
ぼんやりとしたまま瞳を巡らせ、そして一瞬にして意識が覚醒する。
彼女は見たことの無い天蓋付きの寝台に寝かされていて、
そこは豪奢な一室だった。青と白の調度品で統一された、客間のような室内。
かすかな衣擦れのような音を捉え、音のした方向へと視線をさ迷わせると。
「シロ……!? それにベレンまで………。」
伯爵家の侍従たちに身体を押さえ付けられ、
彼らの壁のような阻みからこちらを見ていたのはふたりだった。
「あぁ、………良かった。なかなか目覚めないから心配していたよ」
バッと勢いよく後方を振り仰ぐと、そこには微笑を湛えたフェリスの姿があった。
ゆっくりとした足取りで寝台の上に座り込んでいたヴァリスのほうへと近づいてくる。
その身が凍てついてしまったように動けない彼女の傍らに乗り上げ、そしてその唇をひらいた。
「だって君に死なれてしまったら、僕の折角の計画が台無しになるからね」
顎を掴んで上向かせられ、舐めるような視線でヴァリスの全身を検分する。
「っふたりを離してください……!」
恐怖で干上がった喉を叱咤して告げると、そのおもてを睨み付ける。
その言葉に、フェリスの微笑がさらに深まった。