第27章 今宵はふたりで【過去作派生中編 🤍→主←🐾 ♟️】
「いつまで寝てるのよ!?」
踵の高い靴で蹴り上げられ、ヴァリスの意識は半ば強制的に覚醒した。
「シルビア様………うぐっ」
何度もヒールで背中を蹴り付けられ、慌てて起き上がる。
それを冷ややかな眼で監視してたシルビアの紅をのせた唇がひらいた。
「お黙り。わたくしの名を呼んでいいと許可した覚えはなくてよ」
凍てつくような瞳でヴァリスを見下ろす彼女の眼差しは、敵意の籠り殊更に紅く輝いていた。
「貴女………お兄様直々にこの仮面舞踏会に招待されたそうね?
悪魔執事の主の分際で、お兄様に取り入るおつもり?」
「そんな……私は………っ! きゃあっ!」
ガッと乱れた髪を引っ張られ、瞳をのぞき込まれる。
痛みに顔を歪めるさまを楽しそうに見つめながら再度唇をひらいた。
「わたくしですらお兄様に近づくことさえ許されないのに、
なんて身の程を弁えない女なのかしら!」
そして床についていたヴァリスの手を踏みつける。
「ねぇ、………二度とこの館に足を踏み入れないでくださる?」
グリグリとヒールで踏み付けながら、歌うような声で告げた。
ヴァリスが何かを告げる前に、楽しげな声が降ってくる。
「そうしたら、貴女の執事たちは見逃して差し上げるわ」
くすくすと醜い笑い声を上げながらヴァリスの手を踏みしめ続ける彼女に、
ヴァリスは痛みを振り払いながら唇をひらいた。