第3章 ハートの海賊団
恐る恐る彼の背後を着いて行くと、扉に船長室という札が掛けられた部屋へと入っていった。
『おじゃまします…。』
部屋の中は沢山の厚い本が本棚に並んでおり、薬品なども綺麗に置かれていた。部屋の奥にあるデスクには難しそうな医学書が山積みになっている。
(薬屋の雰囲気と似てるからちょっと居心地良いかも…。この人、お医者さん…なのかな?全然医者っぽくは見えないけど…。)
そんなことを呑気に考えていると突然ゴンッという壁に手をつく鈍い音と共には壁と彼との間に挟まれていた。
「何故ドンキホーテファミリーに追われていた。お前、何者だ。」
『ひっ!……それは…えっと…。』
(いきなり壁ドンされたかと思えば、めっちゃ怒ってる。怖いんだけど…。)
身長が高いのもあるのか、此方に向けられる目線が威圧的に感じて怖い。でも、本来の原因は私なので文句は言えない。
『それは、私が……毒姫だから。』
「……ッ!…お前が噂の。まさかお前みてぇな女だとは思っても居なかった。」
『し、失礼ですね…。私だってちゃんと真っ当な薬も作れますし、毒だって凄いのが作れるんですから!貴方こそ、誰なんですか?…助けて貰ったのは感謝してますけど。』
煽るような彼の言葉に思わずムキになってしまった。
「ククッ…まぁ、怒るなよ。トラファルガー・ロー。ハートの海賊団の船長。」
『トラファルガー・ロー……海賊…?…なんでそんな人が私を助けてくれたんですか?』
トラファルガー・ローという名前は何度か世経で見かけたことがあった。しかし、顔まで覚えてはいなかった。そんな有名な人が何故…。それに、海賊ってもっと野蛮で残虐非道なイメージだったのに、この人は何処か違う気がする。勿論この怒った顔や雰囲気は海賊っぽいが。
何故私を助けてくれたのかよく分からない。見知らぬ一般人なんて見捨てても同じなのに。
「うちのクルーが女が殺されかけていると言ってきたからだ。まさかその助けた相手が毒姫だとは思わなかったが。」
『……っ、意外と…優しいんですね。海賊ってもっと怖いイメージがありました。ありがとうございます。ローさん。』
「優しさのつもりはねェ。俺は只道端に転がる死体を見たくなかっただけだ。」
ローの口はそっぽ向いてそう言っていたが、少し表情が穏やかになったように見えた。