第7章 強くなりたい
明らかに悪そうな人達に、はいそうですかとノコノコ着いて行く気はない。
それに、何故か自分が【毒姫】ということがバレている。
こんな大人数の男達を相手した事は無いが、仕方無く護身用のナイフを抜いて男達に構える。
『嫌だと言ったらどうします…?』
「それじゃあ、力付くで連れて行くしかねぇなぁ。」
女一人相手に油断し切っている男達は一斉に自分の方へと飛び掛かる。
だが、あくまでもハートの海賊団の皆んなにこの短期間で散々鍛えて貰ったのだ。
伸びてくる男達の手や足をかわしながら、そのナイフで男達の肌に小さな傷を掠めるようにして入れて行く。
「そんな擦り傷痛くも痒くもねぇよ。」
痛みのダメージとしてはそれ程大きく無い。
だが、私が持っているのは只のナイフでは無い。刃先にはべっとりと自家製の毒薬を塗っていた。
流石に即死レベルのものは後味が悪いので、あくまで痺れたりして動けなくするレベルのものだ。
案の定男達は突然バタバタと倒れ始めた。
「ぐぁっ!何だこれ…!」
「身体が…痺れて、動けねぇ!」
『女一人に大勢で相手するんだもん。即死じゃ無いだけマシでしょ?』
痺れて動けない男達を見下ろしながら、足でツンツンと突いてみる。
ちゃんと毒は回っているようだ。
だが、通報すれば自分の存在がバレてしまう為、ローにだけ伝える事にした。
ローから借りた電伝虫を取り出し、番号を掛けようとした瞬間、頭上に影が掛かる。
上を見上げた瞬間、視界に入ったのは2mは裕に超える大男の姿と、頸に感じた衝撃。
気付けば、プツンとそこで意識は途切れていた。