第2章 襲撃
『爆発…?!』
町中の人々も突然の爆発に動揺している様だった。
その時、港の方から街の人々が焦ったように逃げて来た。
「海賊だぁッ!海賊がこの街を破壊しにきた!!」
「早く逃げろぉ!!!!」
その声と共に町中はパニックに包まれる。叫び声が響き渡り、爆発の影響か燃えている場所もあった。
さっきまで平和だった光景が一瞬で地獄に変わる。
(ぼーっとしている場合じゃ無い。早く私も逃げないと。)
逃げようと港へ背を向けた瞬間、メガホンで海賊の声が大きく響き渡る。
「よく聞けー!!!俺らはドンキホーテ・ファミリーだ!!!
この街にいると噂の【毒姫】を探しているー!
我等が直々に迎えに来てやった!!!!
さっさと出てこねぇとこの街はあっという間に灰になっちまうぞー!」
その声にピタリと足が止まる。
(探されてるの、私じゃん。)
流石に容姿がバレている訳では無いが、この街に住んでいる事は周知されているらしい。
ゆっくりと後ろを振り返ると、明らかに悪そうな人相をした人たちが武器を持ってゾロゾロと此方へと向かって来ていた。
その真ん中に立っているピンクの上着を羽織った男は、どの海賊よりも威圧感があり、その存在を周りに知らしめている。
その男は何度か新聞でも見かけたことがある。
(確か…ドンキホーテ・ドフラミンゴ…。)
一国の国王になった噂があったが、あまり良い話は聞かない。
そんな奴等が私を探している。心当たりはひとつしかない。連れていかれるか、それともこのまま殺されるか、どっち道良い運命にはなりそうにない。
だが、此処で逃げれば関係のない人達が殺されてしまう。
私に逃げるという選択肢も、隠れるという選択肢も残されていなかった。
皆が逃げ惑う中、私一人ファミリーの方へと歩みを進める。膝は恐怖で震え、額には冷や汗がひとつ垂れていた。
怖い、逃げたい、帰りたい…。その気持ちはあったが、自分のせいで誰かが死ぬところは見たくなかった。
意を決して、彼らの目の前に歩みを進めた。
『私が毒姫よ…!貴方達、私に何の用?』
「うわ、やべ-光景だな。」
「あの女の子一人で立ち向かって…。やっぱりキャプテンに報告した方が良いよね?」
「船長なら何とかしてくれるに違いない。電伝虫で報告してくれ。」
「アイアイ!分かった!」