第6章 初めての上陸
船へと戻ったが、船番以外のクルーは殆ど出払っていた。
とりあえず、購入したものを仮の自室へと持って行こうと思い、部屋の扉を開くと目の前には驚くべき光景が広がっていた。
物置として使われて殆ど何も置いていなかった筈の部屋が見違えるものになっていたのだ。
部屋の中は、女の子らしい色を使用した家具に、医学書や薬学書を何冊でも入れられそうな大きな本棚、その奥には、がいつでも研究できるようにか、実験器具や実験台、薬草を育てる為の小さなビニールハウスまで用意してあった。
更にふかふかのベッドの上には、可愛いペンギンやシロクマ、シャチのぬいぐるみが置いてあった。
『うわぁ…!凄い!これ、ローさんが用意してくれたんですか?』
大量の荷物を一緒に運んでくれたローの方を振り返る。
「家具を選んだのはベポ達だ。」
「お!喜んで貰えたみてぇだな。」
「最初シャチがとんでもねぇ家具を選ぶから苦労したぜ。」
「気に入ってくれた?」
シャチ達がどうやらサプライズで驚かせようと、近くの部屋に隠れていたようだ。
『うん、とても気に入った!ベポ、シャチ、ペンギン!ありがとう!』
嬉しくて思わずベポの身体に抱きつく。想像以上にふわふわの感触にスリスリと頬を滑らせた。
「えへへ。喜んでくれて良かった。実験器具とかはキャプテンからのプレゼント。家具とぬいぐるみはシャチとペンギンと俺で選んで買ってきたんだ。」
頬を少し赤く染めたベポが照れ臭げに告げる。
家族以外にも私に居場所を与えてくれたことが本当に嬉しかった。