第6章 初めての上陸
「キャプテン!そろそろ島に到着するよ!」
航海士のベポがローの元へ到着が近いことを知らせにやって来た。
窓を見ると大きな島の影が見え始めていた。
この船に乗って初めての上陸。
今まで故郷から出た事の無かったにとってはワクワクで仕方がない。
それに、この島で自分の生活用品を一式揃えるつもりだった。
(それにしても、どれくらいの服を買ったら良いかな…。)
着の身着の儘飛び出して来てしまった為、所持金もそう多くはない。
『足りるかな…。』
ぼそりと独り言を呟き、考え込んでいると、背後からローの手が伸びてきたかと思えば、手の平には分厚い札束が置かれた。
「金なら心配いらねぇ。好きなだけ買ってこい。」
初めて手にするこれ程の大金に思わず目を見開く。
『だ、ダメです!こんな大金!私返せません!』
必死にローにお金を返そうとするが、受け取って貰える気配は全く無い。
「これから長旅になるかもしれねェ。戦闘で服がボロボロになっても直ぐに代えが用意できるとは限らねぇだろ?別に金は返さなくて良い。クルーの服を用意してやるのも船長の役目だ。」
『うぅ……。……ありがたく、いただきます。』
ローの言葉も最もだ。他のクルーと比べて小柄な自分は服を揃えるだけでも手一杯であるし、女子として揃えなければいけない物も多くある。此処は有り難く受け取ることにした。
(また自分のお金が貯まった時に少しずつ返していければ良いよね…。)
そうこうしているうちに、船は港へと到着した。この島は港町がかなり栄えているようで船からでも賑やかな市民の声が聞こえて来た。