第2章 仕込み【幸村】
テニス部はイケメンが多いからか普段の練習もファンの子達がたくさん見に来てる。
練習試合となれば初めて見てた私なんて部員達からは気づいてももらえないだろう。
問題はない。
怖い人にはなるべく関わらず、適度な距離感で、目立たないように、ただのクラスメイトとして生きていきたい。
とある日
委員会の仕事でだいぶ遅くまで学校に残っていた。
手際が悪く私だけ居残り状態でプリントをまとめていた。
他の皆はやる事が終わり帰ってしまった。
「あぁぁぁ。終わんない。みんな帰ったし寂しいなぁ」
なんて大声で独り言を言いながらストレス発散。
大きい声出すとちょっとスッキリするよね。
「もうちょいで終わるし頑張ろ」
散々大きい声出したり鼻歌を歌いながら与えられた仕事を淡々とこなして、もう終わるという時に教室の扉が開いた。
ガラッ
「えっ!?」
『あー〇か。忘れ物取りに部活終わりに来たら声が聞こえるから誰かと思ったよ。委員会の仕事?』
「あ、幸村君。うるさくしてごめんね。もう終わるとこ。大きい声出してストレス発散してたの(笑)」
『そうなんだ。フフッ。もう俺も帰るところだから一緒に帰るかい?』
え、ぜんぜん嫌だ。と思ったけどあの時の顔を思い出してしまって怖くて良い言い訳が思いつかず、うん。と返事をしてしまった。