第1章 表面張力【幸村】
もちろん予定もないし、久々に会えたしで即OK。
閉店作業を急いで終わらせ、幸村君と合流
「ごめんねー!お待たせ!」
「いや、突然誘ったんだ。来てくれてありがとう。」
大人になってもスマートな心遣いだ。
やはり良い意味で変わってない。
幸村君には似合わない様なチェーン店の居酒屋に入ることに。
お互いの近況や昔話で盛り上がりお酒も進んだ。
幸村君は海外に住んでて中学時代の友達の結婚式で日本に数日戻ってきたみたい。
そんな会うことも無いだろうと、お酒の力もあり
昔の自分の気持ちを伝えた。
「あの落ち込んでた時優しくしてくれたよね?
あれで私、幸村君の事好きになっちゃったんだよねー(笑)」
私も昔と変わらず軽いノリを装って本音を言った。
「そうなの?嬉しいよ。ありがとう。」
それ以上はないのは分かってた。幸村君の左手には綺麗な指輪が光ってたから。
でも昔に押さえつけた想いはたぶん止まらない。
酔ってるし。そう言い訳を自分の中で見つけて。
「この後どうする?」
聞いてしまった……!
どうするつもりなんだ自分!酔ってるとはいえまだちゃんと意識はある。
ドキドキしながら幸村君を見た。
「……どうしたい?」
一瞬悩んだ顔してた気がしたが笑顔でそう言われた。
いい時間だったし居酒屋を出て私の部屋に招いた。
飲み直そう。とよくある理由を付けて。