第1章 表面張力【幸村】
そんな青春時代を過ごし卒業し、専門学校ではレッスンの日々。
資格試験の勉強国家試験のレッスン。
出会いもなければ彼氏を作る暇もなかった。
そのまま今に至るわけですよ。
とある日
もうすぐ閉店かなぁぐらいの時間に予約無しの来客。
手が空いていて奥の事務室で締め作業をしていた私がアシスタントの子に呼ばれた。
「〇さん。カットで男性の方お願いします。」
「了解ー!」
今日はもう仕事終わったつもりだったのでやる気が出ない中
お客さんの待つ椅子に向かった。
「担当させて頂く〇です!よろしくお願いします」
「あれ。」
職業柄なのかお客さんの顔より先に髪の毛を見てしまうので反応が遅れた。
鏡越しに顔を見ると幸村君だった。
「えっ。幸村くん?」
「そうだよ。〇さんここで働いてるの?」
「そうなの。えっ。いや、とりあえずよろしくね。今日はカットでいいのかな?」
驚きを隠せないままとりあえず仕事だ。と思いカウンセリングをしながら幸村君の髪の毛に触れる。
ゆるっとしたくせ毛なのに綺麗でさわり心地が良い。
カットをしながら高校ぶりだねー。とか他愛もない話しをした。
もうそろそろ終わるかなーぐらいで
「この後時間ある?」とお誘いされた