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(名探偵コナン】生まれ変わったら名探偵の姉でした(改)

第37章 漆黒の葬列 後編



ウォッカ「いませんぜ、ピスコの奴……。裏切り者のシェリーを見つけたって事と、30分後にホテル近くの駐車場で落ち合おうって言ったきり音沙汰がねーし……。発信機を頼りに来てみれば、パソコンはあるものの……。大体この酒蔵は大丈夫なんすかね……」

ジン「元は恐らく念の為に確保しておいた部屋だ!会場での殺しが失敗した場合、ここをターゲットの死体置き場にするつもりだったんだろーよ……。思わぬ獲物も捕らえて役立ったもんだ……」

ウォッカ「シェリーっすね……。つーか捕まえたって聞いたのにあの女もいねぇ、とっくに殺して死体を移動させたのか?。警察も大勢いやがるし、早くズラかった方がよさそうだ兄貴」

ジン「……ああ、そうだな」



やはりジン達は連絡が取れないピスコを不審がっているらしく、わたしも姿が無かった事からピスコが連絡の暇なくホテルを逃走したとウォッカが判断したようだ。けれど暖炉の所まで来たジンは違う、そばに落とした私の頭髪に気づいたか否か。ジンの返事は間を開けて、不気味な喜色を孕んでいた。幾ら作戦でわざと髪を落とす事に賛同したとは言えど、世の中に大勢いる茶髪の人より私だと思い込む心理は気色悪い。いやまぁ、それを利用して釣り上げてるのだけど……。

兎も角、アイツは諸伏さんの予想通り私を油断させる為に、一旦ウォッカを連れて出て行った。二人が部屋を出て行ってバタンとドアが閉まると同時に、必死に押し込めていた息に限界が来た。過呼吸の様に浅くて荒い息の仕方になりながらも、一先ずこの場を逃げ延びた事にほんの少し安堵する。けれど私は今からここを、暖炉を抜けて屋上に出なければならない。ジンやウォッカとの対面の為に。



灰原「(これじゃあまるで、井戸から這い上がったコーデリアね……。気が遠くなりそうよ……)」



屋上にある出口まではそこに蓋がしてあって目では分かりにくいが、構造はホテルの中間あたりに宿泊スペースとは別の屋上があって、それでもかなりの階数と高度がある筈だ。突っ張りながら上がって行くのは体勢も体力も地味にキツイ。それでも根性だけで何とか屋上に脱出出来た。

流石にもう全身が怠くて、心臓が痛くて、久方ぶりの大人の体は伸縮の影響と慣れない運動で動き辛い。けれどそんな私の背後に雪をクッションにして足音が立たず、静かに迫い詰めようとする殺気と気配。
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