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(名探偵コナン】生まれ変わったら名探偵の姉でした(改)

第37章 漆黒の葬列 後編



灰原「はぁ……はぁ……これ以上はもう、動けない……」

パシュッ

灰原「?!!」




偽装するまでもなく本当に脱力しきっていた私は、それでもゆっくり立ち上がると成人の胸囲ぐらいある屋上を包囲する壁に寄っていた。別ビルにいる諸伏さんに、私が到着した事を教える為に。すると、突然背後からの肩への狙撃。防護服を着ていても撃たれた部位には激痛が走り、仕込んだ血糊がリアルに前面に噴き出る様に驚いた。咄嗟に振り返るように身を捩って壁へしなだれかかった私は、これが血糊だとバレないように撃たれて弱ったフリをする。撃ったのはジンで、その後ろにはウォッカもいる。

そんな僅かな命のやり取りに、血の気が引いてゾッとする。敢えて一瞬で殺せる隙を射殺せず、ニヤリと邪悪な笑みを浮かべて痛ぶろうと肩を撃ち抜いて来たのだから……。撃たれた肩の血糊は腕を伝って地面に流れ落ち、目の前にいる残忍な男への悪寒で足が震える。それでも意外だけど私はこの場になって酷く冷静だった、恐怖よりも激情と嫌悪感が勝っている。お姉ちゃんと両親の仇の一人、私達姉妹を幼少から犯罪者に仕立てた……クソ野郎達……。




ジン「会いたかったぜシェリー……綺麗じゃねえか……。闇に舞い散る白い雪……それを染める緋色の鮮血……我々を欺く為のそのツナギは死装束にしては無様だが……。ここは裏切り者の死に場所には上等だ……そうだろシェリー?」

灰原「ハッ……よく分かったわね……。私がこの煙突から出てくるって……」

ジン「髪の毛だ。見つけたんだよ暖炉のそばで、お前の赤みがかった茶髪をな……。ピスコに取っ捕まった後、何故かあの野郎がいなくなった隙に逃げようとしたんだろーが、聞こえてたぜ?暖炉の中からお前が恐怖に震える吐息がなァ……」




すぐに薄汚れた暖炉の中で殺っちまっても良かったがな、せめて死に花ぐらい咲かせてやろうと思ってな……。そう言って死に怯える相手を嘲笑うかのような台詞を宣うジンに、私も馬鹿にする笑いが込み上げてくる。




灰原「あら……お礼を言わなきゃならないわね……。貴方のその加虐趣味を侮っていたわ、こんな寒い中待っていてくれたんだもの……」

ジン「……フン、随分と達者な口叩くじゃねぇか。姉を殺されて自棄になったか?その唇が動く内に聞いておこうか、あのガス室から消え失せたカラクリを」



絶対教えない。
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