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(名探偵コナン】生まれ変わったら名探偵の姉でした(改)

第37章 漆黒の葬列 後編



耳を澄ませばトゥルル、という電話特有と機械音は一度のみで、プツッという音がすると緊張で強張っている風見さんの声が「もしもし」と短く応答。



椎奈「もしもし、こちら工藤椎奈です。灰原哀は予定通りに酒蔵へ監禁状態に、『APTX4869』で元の姿へ戻っています。無事にコナンを博士に任せ、防護服とボイスチェンジャーの蝶ネクタイも回収、離脱してホテル内に侵入成功です。防護服も着用しました、彼女(哀ちゃん)と彼ら(組織)の状況と指示を求めます」

風見【はい。我々はホテルに到着したジンとウォッカを発見し、刑事二名が離れた場所から追跡中。ピスコがシェリーを監禁している酒蔵の方へ移動した後、やはり暖炉から逃亡した事に気づいた様で、現在は屋上に向かっています。別ビルの屋上では射撃準備を済ませた諸伏が待機、シェリーの偽造死体も酒蔵に配置済み、ホテル上階では事件の捜査が中止されました。シェリーの救出はジンが致命傷を負わせてからです。ギリギリまで彼女が撃たれ続けても耐えて下さい……合図は彼女を傍聴している私が】

椎奈「……、はい」




最後に風見さんから念を押されてしまったが、哀ちゃんも私と同じ防護服を着込んでいると分かっていても心配で仕方がない。返事がどうしても、暗くて硬い声になる。彼女は実際には白乾児ではなく未完成な解毒薬を飲んで幼児化から戻っていて、酒精による未熟児の体への害は避けられたものの、変化による苦痛や解毒薬への耐性などのダメージがある。本当に解毒薬を飲むのに関しては哀ちゃんが譲らなかった。本人が試作の解毒薬を自分に試したいと言って、完全に戻れる可能性に掛けたがっていた。

本来なら作戦代理人を指名して必ず止めるべきだったけど、試験用のネズミによる実験と成分的に実害のある副反応が無く、細胞へのダメージを軽減・治療する成分も含有されている。極秘の設備が整ったラボが出来たお陰だろうか、それらの保障と一度きりの使用、という制限があって飲んだ。原作の時空より遥かに安全を配慮している。



椎奈「(……私の仕事は安全圏から変声機で一芝居うつこと。致命傷を負った(フリをする)志保ちゃんをジン達から逃がす。彼女ももピスコも、景光くん達が殺させない……!)」



私の脳裏に浮かんだのは、明美さんと志保ちゃんが笑い合って抱きしめ合う姿。
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