第2章 道場破り
『しゃ、喋ったー!鬼灯様、可愛い犬と猿と雉が喋りましたよ!モフモフしてきても良いですか?!』
「喋る動物は地獄では珍しく無いでしょう?お待ちなさい……はぁ。もう私の声は届いていないみたいですね。」
鬼灯の言葉などまるで耳にない椿は一目散に白い犬の元へと駆け寄るとそのふわふわな体を抱き上げながら頬擦りをする。
『可愛いー!!!もふもふー!!鬼灯様、閻魔殿で飼ってはいけませんか?!』
「ダメです。閻魔殿では飼えません。桃太郎さんに返してきなさい。」
「うわぁああ、くすぐったい!でも、お姉さんなら俺良いかもぉ…」
「コラァ!勝手に降参するなぁ!!」
最早カオスな状況を周りの部下たちは静かに見守ることしか出来なかった。
「おのれ鬼めっ…所詮は血も涙もない奴よっ…桃太郎の剣術受けてみよ!」
桃太郎がこの状況を振り切るために鬼灯と椿の方へ刀を向けた。
だが、それと同時に桃太郎の刀は鬼灯の金棒の一振りによって簡単に真っ二つに折れてしまった。
「イヤアアアアアア!!!」
「幾ら物語の英雄といえど、椿に刀を向ける輩に容赦はしません。…何で鬼ヶ島で勝てたんでしょうこの人。」
『鬼灯様……。』
「イヤァ正直あの時鬼ベロッベロに酔ってて…」
「バラすなー!」
「そりゃあ村のみんなは喜んでくれたし、俺達も誇らしかったけど…その後うぬぼれちゃったよね。」