第3章 鬼灯との出会い
「良い返事です。そうと決まれば、早速始めましょう。」
(始めるとは何を…?)
そう疑問に思う前に、この辺りで漂っている鬼火を鬼灯が手で鷲掴むと、私の心臓の辺りへと押し当てる。
その途端、自分の身体が脈打ち手足の先まで力が漲っていくのを感じる。細い指先にある爪は鋭く尖り、口元から鋭い牙が隙間から覗かせる。更に鬼の特徴である2本の角が額から突き出た。
(コレが鬼の身体か…。)
明らかに人間でいる時よりも身体は軽かった。
目の前の男は満足げに口角を上げていた。
「鬼である貴方も素敵です。そういえば、申し遅れました。私地獄で閻魔大王第一補佐官を務める鬼灯と申します。以後お見知りおきを。貴方の名前は?」
『椿です。鬼灯様…不束者ですが、宜しくお願い致します。』