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鬼灯様の許嫁【鬼灯の冷徹】

第2章 道場破り




「だからよぉっ!ここで一番強い奴連れて来いっつってんの!」
「困りますよぉー。そういうことはまず受付を通して頂いて…。」
「っかーーッ!そういうことしか言えねーのかよっ。このマニュアル獄卒!」


問題の現場へと到着してみると確かに外見からも明らかに桃太郎と分かる男が他の獄卒に文句を垂れていた。

『うわぁ、予想以上に大変そうですね。」
「あれがあの桃太郎でしょうか。」

「あっ!鬼灯様、椿様!申し訳ございません。お忙しい中…」

困り果てた獄卒が鬼灯らの元へ駆け寄ってくると、桃太郎が自分達が上官だと気付いたらしい。

「おっ!そいつ上官だなっ!?俺と勝負しろっ!!」

突然吹きかけられた勝負に鬼灯は顔を顰め、こっそりと椿の耳に口寄せした。
「……………えーと…。あの困ったさんはどこの子ですか?」
『鬼灯様、お気を確かに。あれが桃太郎ですよ。多分。』

「ひっ、ヒソヒソするな!!!」
「アイツ急にやって来たと思ったら道場破りみたいなことし始めて…」


『なるほど。桃太郎といえば鬼退治ですからね。』
「生前悪い鬼の退治でご活躍なさったのを誇るのは良いですが、大義を見失っちゃあいませんか。」

「いーや。見失ってないね。俺は鬼と戦ってこそ桃太郎なんだ。なっ相棒!」
桃太郎の後ろには可愛らしい犬と猿と雉が待機しており、自信満々に桃太郎が同意を求めていた。
しかし…。

「俺は契約料のためです。」
「でも現代はキビダンゴより美味いものが多すぎる。」
「雇用形態が室町時代から変わらんから正直転職を考えている。」

「あっお前も?」
「俺達霊力ある神獣なのにさァ。」
「アイツ1人いつも熱いしなー。」

「英雄の部下なのに何が不満なんだよぉおお!!?」


過去に戦った同志としての信頼は何処へやら。だが、そんな事よりも椿は別の事に身体を疼かせ我慢の限界だった。
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