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鬼灯様の許嫁【鬼灯の冷徹】

第1章 鬼灯の右腕





等活地獄へ到着すると、亡者に武器を奪われ困り果てた獄卒達が居た。

武器を手に入れた亡者達は当然のように暴れており、逃走を図ろうとしていた。此処は地獄。逃げる場所など無いのに。そんな彼等に金棒を片手に話しかける。


『貴方達、これ以上暴れるのはやめなさい。罪が重くなりますよ。』

「ふざけんな!そんなひょろっこい女が俺たちを止める気か?!」
「やめとけ、ねぇちゃん。怪我するぞ、がはは。」

下品な笑い声を上げる亡者達とは別に獄卒達の顔は恐怖で青くなっていた。何せ椿は鬼神である鬼灯と同格なのだ。そんな彼女を貶すことすら地獄の獄卒達でもしない。

「コラ!お前たち!この方は閻魔大王の第二補佐官の椿様だ!無礼にも程があるぞ!」


「そんなの俺たちには関係ねぇよ!!ぎゃははっ!ぐあ…っ!!」

亡者達は獄卒達の言葉に耳を傾けようともしなかったが、その下品な笑い声は彼女の一振りで鎮まり返った。


椿の細い腕で振り上げられた金棒は思い切り亡者の腹に入るとそのまま空高く打ち上げられた。


『我ながらナイスショット。では、次に私に打ち上げられたい方はどうぞ此方へ。』


だが、どの亡者も顔色は真っ青で(既に死んでいるから元々蒼白だが)誰一人として椿の前に行こうとはしなかった。その代わりに次々と亡者達は武器を置き、他の獄卒達に許しを乞い始めた。
どうやら一件落着のようだ。


その様子を眺めていた獄卒達は彼女のどこに大人1人をいとも簡単に打ち上げられる腕力があるのか、意味が分からなかった。

「あ、ありがとうございます…!椿様。」

『この程度、問題無いですよ。では、私は戻りますので後は頼みます。』


獄卒達に引き継ぐと、閻魔殿へと書類の山を片付けにさっさと戻って行った。

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