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鬼灯様の許嫁【鬼灯の冷徹】

第1章 鬼灯の右腕


ここは地獄----

八大地獄と八寒地獄、更には272の細かい部署に別れたその場所は、現世の人口爆発、悪霊の凶暴化によって前代未聞の混乱を極めていた。



そんな地獄を治める1人である閻魔大王は、日々業務に追われてはいたが、淡々と問題を分析、解決していく有能な補佐が2人いた。1人は第一補佐官である鬼灯。そして、第二補佐官である椿であった。


彼女はその有能さから、鬼灯が直々にスカウトした鬼である。


彼女と鬼灯の力が無ければ今の地獄が成り立っていないといっても過言では無かった。


「閻魔大王様ー!また阿鼻地獄で川が氾濫してます!」
「閻魔様!!また亡者達が脱走を図ろうと暴れています!!!」
「閻魔様ー!天国が桃源郷に人材を派遣しろとのお達しが!」

「ええーっと、阿鼻は政令指定地獄なんだからそっちでなんとかしてよー。天国のことは知らないよー。鬼灯くんか椿ちゃんにでも相談して。脱走は君たち獄卒でなんとかならない?!!」


閻魔殿では今日も獄卒達からの用件の対応に閻魔大王は追われていた。

そんな様子を見ていた鬼灯はため息を一つ溢すと、重たい腰を上げる。


「全く、仕方ないですね。私は阿鼻地獄を見に行きますので、椿さんは亡者の脱走をどうにかして貰えますか?天国の派遣については後でどうにかします。」


鬼灯の言葉に椿も椅子から立ち上がると、先程まで持っていた筆の代わりに大きな金棒を最も簡単に肩に担ぐ。

『分かりました。仕方のない亡者達ですね。さっさと片付けて来ます。』

「おおー!鬼灯様と椿様が来てくれるならば安心だ!」

「貴方達も椿さんに任せきりにせずきちんと手伝うのですよ。」

「分かりました!!!椿様、此方です!」


鬼灯に言われるがままに獄卒に引率され、亡者達の元へと向かった。こうした脱獄未遂事件も珍しいものでは無くなってきた。寧ろ日常茶飯事か。しかし、彼女にとってはストレス発散に丁度いいとしかすら感じなかった。



『行きましょうか。亡者退治に。』
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