第3章 标志
“闇” の日本支部アジトを出て、またしばらく薄暗い道を通り抜けて行く。
ふと目についたのは、きらりと光る割れた硝子、……に写る自分の姿。
普通とはかけ離れたこの容姿は、好きでもねェし特別嫌いっつー訳でもねェ。
色素が抜け落ちたような白い髪は染められたものではなく、アルビノ、と呼ばれる先天性の何かによって作られたもの。
紅い瞳と傷は、……一度だけ、やらかしたときのもの。
興味も関心もなかった己の容姿をまじまじと見るようになったのは春と出会ってからだった。
センコーに怒られることはしょっちゅうだったが、いくら怒鳴られたところで隠してる訳でも誤魔化してる訳でもないンだからどうしようもなく、ただ黙っていたところを見つけてくれたのも春。
そのあとにセンコーにブチ切れてくれたのも春(ブチ切れてくれた、っつー表現も可笑しいとは思うが)。
散々怒られた帰り道、やっぱり夏は綺麗だな、って褒めてくれたのも春。
あれがどうなってああなったのか、今では考えられねェけど。
やっぱり、うちの隣に居てくれたのが春なのに変わりはねェ。
絶対ェに口には出さねェけど、心の奥底ではいつも春を求めてる。