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運 命 。【 東リべ 】【 梵天 】

第3章 标志


空気が漏れる音と共に、扉が開く。
さっきまで薄暗かった廊下に、解き放たれたかのように光が差し込んだからか、舞う粉塵がよく見えた。


「 ……… 」


部屋の奥、大きなモニターに背を、こちらに身体を向けて座る男。
痩せ型、撫で肩、猫背、糸目にサングラス。
いかにも不健康そうでうちらの同業者ですと名乗っている様なその男は、無表情でこちらを見ている。
ギョロリと動く黒目がうちを射止めて離さない。


「 張(チョウ)さん 」

「 ………… 」


張という名前のこの男こそ、“ 闇 ”の日本支部の首(ドン)。
うちが用があって来た相手だ。


「 そろそろ話したらどうですか? 」

「 ………ハハ、夏羽か〜〜!! ひさしぶりやなぁ?《 あ、今は夏羽、やったっけ? 》 」

「 はい、お久しぶりです 」

「 前に会うたの何年前やっけ? あれ、サツに見つかってから1回も会うてないんとちゃう!?!? 」

「 部下が驚かれてますよ 」

「 かまへんかまへん、僕らの感動の再会を邪魔せんのやったらど〜〜でもええわ!! 」

「 感動は知りませんけど 」

「 いや知らんのかい!!! 」


手を叩きながら笑うコテコテの大阪弁のこの男、紛れもなく“ 闇 ”の首(ドン)ではあるものの、その見た目から無口だと勘違いされることが多く、本人もそれを解っているので何も喋らず余計にその印象が強くなるという悪循環を生み出している。

ここに居る部下たちがこの豹変っぷりを見るのは初めてなのだろう、若干……いや、かなり引いている。
可哀想に。 アーメン。
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