第1章 水色天国
この時点で桃城はもう確信していた。栗原は生徒会選挙で当選するつもりは毛頭ないのだと。その日の部活で海堂にも確認した。
「別にアイツが立候補したんじゃねぇ。周りのヤツらがどうしてもって押しきった」
「やっぱりな~。本人、そんなに頑張る気ないの隠してねぇと思うけど、それ周囲に伝わってんのかぁ?」
「んなわけねぇだろ。伝わってたらそもそも選挙に出させねぇだろ」
ごもっとも、桃城は苦笑いとともに頷くしかなかった。囲われてはあの王子様も切り抜ける術がなかったのかもしれない。そう考えると桃城は栗原に対して何となく憐れみを覚えた。