第1章 水色天国
「1年の今のうちから噂されてる、中学女子テニス界トップの一翼を担う人だって。栗原くんといえば男子顔負けの力強い玉を打つでしょ? その打球をもろに返そうとするとこう、ビリビリ~って痺れるわけよ。王子本人の美しさも相まって、我々はその場に釘付けにされちゃう~ってワケ。
なぁに、桃知らなかったの? 知ってて当然でしょ?」
ああ、やはり彼女のこういったところにはついていけない。勢いに気圧されて桃城と井田は苦笑いを浮かべる他なかった。
「……嘘を吹聴するのはよしてくれないかな、五十嵐さん」
3人の背筋がゾッと凍った。恐る恐る振り返ると、書類を片手に仁王立ちする栗原がいた。