第3章 はるか上空での欲望と理性の戦い
「リーバル、私よ!目を覚まして、お願い!」
思い切って強めに肩を揺さぶると、彼はまた瞬きをし、若干光が宿った瞳をさ迷わせると、マヤをしっかりと捉えた。
さっきまであんなに遅かった呼吸が、今は深呼吸くらいの速さになり、不規則ではあるが心拍も確認できた。
「……マヤ、かい…?」
ゆっくりと嘴を開くと、彼は霞んだ声で静かに言った。
それを聞いたマヤは涙ぐむと、何度も何度も頷いた。
「リーバル…!よかった…生きていたのね!」
そっと彼の痛ましい体を抱きしめると、先程よりも彼の呼吸が荒くなったことと、これが初めての抱擁だった気がつくと、マヤは状況を忘れ頬を赤らめた。
「あ、ごめんなさい、つい…貴方が生きていたことが嬉しくて…」
「…構わないよ。それより…よくここまで、来てくれたね…」
途切れ途切れにそう言う彼は、ふわりと目尻を下げた。
「とても寒いだろう…おいで、マヤ…」
リーバルはゆっくりと両翼を少しだけ上げ、マヤの方に差し出した。