第3章 はるか上空での欲望と理性の戦い
四神獣の中へは、嫌になるほど何度も行ったことがあったので、マップを起動させる必要はなかった。
とにかくメドーが操られている原因を探るために、仕掛けを解いては戻しまた解いてみて、そして怨念の目や小さなガーディアンを片付けていく。
一先ず神獣の中は綺麗になったようには見えたが、メドーの様子は変わらず、叫び声が時折聞こえる。
「まだダメみたいね、一体何がいけないのかしら...」
時間と労力と、勇気をかけた割にはまだ報われない結果に、少しばかりマヤは項垂れた。
わずかに漂う瘴気の残り香と薄い空気のせいで、頭がクラクラしてきた。
「ちょっと、1回外に出てみようかな。寒いけど、ここよりかはマシかも」
ゆっくりと立ち上がり、外へ出て神獣の上部を目指す。
上部へ足を運ぶ毎に空気が薄くなり、次第に呼吸が荒くなっていった。
あまり考えないようにしていたが、ここまで時間をかけてなんの手がかりもないと、考えたくなくても考えてしまう。
神獣の中に閉じ込められているはずの、リーバルの姿が羽1つとして見当たらない。
ありとあらゆる可能性はたくさん考えたが、どれも信じたくないことばかりだった。
異国語混じりの話し方をする仲間がよく「可能性があるなら諦めないのが研究者だ」とよく言っていたのを思い出す。
そうだ。実物がない今、彼の死を決定づけるものは今のところ一つとしてない。
そう信じて、この日まで準備をしてきたじゃないか。
まだ神獣内部を全て見終わった訳では無い。今から向かうところがまだ残っている。
「私は、絶対に諦めない...!」