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蒼穹、星空、雲の上(リーバル夢)

第2章 雨止み待つ瞳


リーバルは軽く両翼を降って水を切ると、こちらをちらちらと見ながら狭い岩の中に入ってこようとした。

「ふん…マヤか」

既に岩の下にマヤがいることは分かってたはずなのに、つまらなそうにぼやく。
マヤはそちらを見ずに「お疲れ様です」と呟くように言った。

「先客がいたなら、僕は馬宿まで頑張って飛ぼうかな」

今度は体についた水滴を、全身を震わせて飛ばしてきた。わざとやったに違いないと思い、マヤは飛んできた水滴を迷惑そうにリーバルの方に払う。

小さくなった炎が消えてしまわない程度に息をふきかけながら、また飛ぼうとする彼に向かって口を開いた。

「辞めた方がいいですよ、さっき…」

雷の音が…言いかけた瞬間、眩い閃光と共に轟音がした。気がつくと、近くにあった高い木から炎が上がっていた。

「うわ〜、危ない危ない」

耳を塞いだまま、ちらりと外を見やったマヤは、目を丸くした。

リーバルは、ハッと息を飲むような顔したが、すぐにいつもの澄まし顔に戻るとため息をつく。

「…やれやれ」

マヤが声をかけてくれなかったら、自分はここから飛んでいって、あの雷に打たれていただろう。
考えただけでもゾッとするが、それを悟られないよう彼はなるべく平静を装った。

「…へくしっ」

傍で鼻をすする音がしたかと思うと、マヤはバツが悪そうにくしゃみを一つして身震いしていた。

「まったく、これしきの雨で風邪をこじらせたのかい?つくづく人間は軟弱だねぇ」

「私だって、好きで人間に生まれたわけじゃないですよ…ちょっと寒くなっただけです」

悪態に拗ねたような態度を取るマヤは、まだ飛ぶなと言われていたのに飛んで親に怒られているリトの子供のようだった。

マヤの「寒い」という言葉に焚き火が同情したのか、パチンと大きめな音を立てて炎の勢いが強くなった。

さっきより少しだけ寒さが和らぐ。

膝を抱えて座っていたが、体に着いた水分が気持ち悪かったのか姿勢を崩し、足を伸ばして手を後ろについた。

ちらり、とマヤの方を見やると、ついじっと見つめてしまった。
彼女はシャツを脱いでおり、上半身が下着姿。
白い薄手の下着だけで、濡れているためところどころ肌色が透けている。
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