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蒼穹、星空、雲の上(リーバル夢)

第2章 雨止み待つ瞳


任務の途中スコールに襲われたマヤは、岩の下に入り、シャツの裾や濡れた髪をしぼる。

重たい灰色になってしまった空を見上げ、小さくため息をついた。

レイクサイド馬宿に到着したのが、遡ること5時間前。
フィローネの森林は、昼間は太陽が照りつけており、フロリア湖や突発的に降るスコールによって、常に蒸された状態。

馬宿の主人が、「スコールはついさっき降ったばかりだから、半日は降らないと思う」と言ってたのを信じ、この熱林に順応するため、上着は馬宿に置いて薄手のシャツでここへ来ていた。

ついさっき降ったスコールのせいで、森林の水分はかなり蒸されて、うだるような熱気に包まれている。
そしたら、ものの数時間でスコールがまた降ってきたではないか。

往路で見つけた、万が一の雨よけのために使えそうな洞窟と言うには小さい場所まで、走って戻る。

適当な天気予報を信じたばかりに、こんな目にあってしまったと、マヤは大きなため息をついた。

「…ついてないなぁ」

落ちている小枝を集めて火打石を置くと、短剣を振り下ろす。

僅かに火花が散って、小枝に火がついた。

小さな焚き火ができ上がったが、せいぜい足元が温かくなるなだけで、シャツを乾かしたり体を温めるにはあまりに小さすぎた。

少しでも大きくしようと、枯葉や草を集めては火にくべてみるが、湿っていて使い物にならない。

「さむ…」

身震いすると、体をいっそう縮こませた。

その時。

ばさ、と大きな羽音がしたかと思うと、岩の前に大きな影が降り立った。

短剣に手をかけたが、すぐにその正体が分かると、短剣を鞘に収めた。
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