第4章 友達って良いよね
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織田「こらこら、月詠が怯えとるではにゃーか。楽しゅう酒をのもう(月詠の狙いはその鬼か…?それなら余計な事を言ってしまったかもしれんな)」
まゆの不安感が伝わってしまったのか、織田が空気を変えようとする。だが、この男は中々に鋭いのかまゆの考えを見抜く
こうして遊里の夜は更けていった。織田は月詠が気にいったのか、連日通う事になる
天道「何か収穫はあったのか?」
まゆ「はい、お客さんやお姉さん方によると…」
朝方の定期連絡にて、若い衆筆頭の冠城と遊女の花巻が鬼ではないかと、まゆは織田や水輝達と話した事を天道に話した
天道「二体か、それとも一人は手引きをしているか…まゆ、暇な時で良いから鬼の気配を探りながら店の中を徘徊してほしい」
まゆ「御意に」
まゆは昼前に起きて身なりを整えると、時々通りすがるお姉さん方に頭を下げつつ徘徊をしていた
日の当たらぬ場所限定ではあるが、下働きや新人の遊女達は大体そういった場所に部屋を与えられている為、結構人通りはあるのだ
花梨「あら月詠ちゃん、うろうろしてどうしたんでありんすかぇ? 」
まゆ「わっち方向音痴でありんして、店の中を把握しんせん事にはと思いまして」
花梨は心配になったのか、まゆの手を握って言った
花梨「感心しんすけれど、夜に差し支えない程度にしておきなんし」
まゆ「はい、わかりんした」
まゆは徘徊を続け、一番奥の部屋の前に差し掛かると鬼特有の生臭さと禍々しい気配を薄っすら感じた
まゆ「(あの部屋か…?勝手に動けないのが歯痒い…)」
数日しても鬼が動く気配がない。自ら騒ぎ立てるな、と天道に言われていた為まゆも動けなかった。しかしそこで事件は起きる
女将「月詠、あんたを買いたいってお客様が居てね。あんたも十五だ、水揚げしても良い頃だろう。明日だから頑張るんだよ!」
女将はそれを言うとさっさと裏に引っ込んでしまった。残されたまゆは焦るっている
まゆ「え…水揚げ?どうしよう…天道様が縁壱お兄様と隼人兄さんに処されてしまう!!何とかしなければ」
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