第34章 鬼の女の子と耳飾りの少年
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私達は炭治郎に別れを告げ、左近次の所へと戻っていく。その途中ずっと考えていたのは『竈門兄妹に何をしてやれるのか』ということだった
しかし、悪阻で常に船酔い状態の私の頭は疲労も重なって中々回ってくれない。少し疲労の治癒に力を使った方が良いかしら…
あっという間に左近次の家に着いたが、私は一人難しい顔をしていた
縁壱「考え事か?随分顔色が良くないが…」
左近次「無理をさせてしまったか…」
まゆ「違う違う、左近次や竈門兄妹がどうのじゃないわよ。しいて言えば…んー……抜け道探し…かな…。規約という枷が多過ぎて、どうもやり辛いと言うか何と言うか…」
巌勝「先程も言っただろう。一人で背負うべきではないと…言いたい事は分からんでもないがな」
全くもって巌勝さんの言う通りなんだけどね〜
まゆ「元々窮屈なのは苦手なの。今はデタントだ何だって自由が無いのよ」
左近次「話が見えん…」
縁壱「デタントとは神魔が冷戦状態にあるという事です。なので神魔戦争に発展しないように互いに規約を守らなければならない」
巌勝「何だか大変なのは分かるが、今悩む事ではなかろう」
そりゃ神・魔・人のパワーバランスを保つ為の事情なんて人間には分からないわよ。多分縁壱さんですらあまり知らないんじゃないかしら(汗)
まゆ「それだけじゃないわ。悪魔は勝ってはイケナイ茶番劇の悪役として縛り付けられている存在。そんな押し付けられた秩序には思うところがあってね」
縁壱「まゆは穏健派であり、デタントを推進しておるではないか。平和が一番だろう?」
縁壱さんは私の想いを知っているからか、いつもより強めの口調で私に問いかけた
まゆ「だからよ。それに加えて今の現状でしょ?人界が壊滅すれば神魔のパワーバランスの維持が難しくなるわ。ならば人界に関する規約は緩めても良い筈よ。あんなの魔界の特殊部隊にでも討伐させりゃいいのにってさ」
左近次「何故に人界が壊滅すると神魔に影響が出るのだ?」
縁壱「それは人が神を信じて祀っているからです。信仰が神々の力になる」
どうせ私等魔族は人間にとって鬼舞辻と変わらない『悪』の存在だからね〜(笑)
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