第33章 悪阻と過保護なパパ達
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まゆ「ほら、巌勝さんだってお母さんと同じ事を言ってるわ。誰しもが思う事じゃないかしら。本当に今更よ?」
美月「あっ、だから別に私は…」
縁壱「前世は前世だ。今を縛るような事はするでないぞ」
槇寿郎「そうか、憶えていなくてスマン。だが、俺は前世も可愛らしくて良い嫁さんに巡り会えたのか。とても嬉しく思う!前も幸せだったのだろうな」
父上は「懐かしさや愛しさを感じたのは美月がまゆに似ているからではなく、前世で愛した人だったからか」と付け加え、カラカラ笑った。美月は一瞬ポカーンとした後に笑いだす。頭大丈夫かしら?
(確かに俺は、お前を愛していたぞ)
美月「…ふふっ…そっか!『確かに愛していた』か…うんうん…私ね、吉寿郎が亡くなる時に『愛してた』って聞きたかったんだ。ただそれだけだったの。今、吉寿郎から聞けたからもう大丈夫(笑)(私も愛してたよ…)」
中々ワガママな子ね…ってか『愛してた』って吉寿郎君が言ったの?
槇寿郎「俺は言ってないが…」
巌勝「まゆ、お前何かしたか?」
縁壱「まゆなら何とでもできるだろう」
まゆ「精神感応の類は出来ないわよ。ってか使った事が無いわね。使った事が無いものを妊娠中に使うなんて無謀オブ無謀よ」
美月「良いの!頭に直接響いた声は確かに吉寿郎だったよ。まぁ、私は鬼神だからオカルトな現象もありだから(笑)」
我が子ながら単純よね〜。美月の唯一の未練が吉寿郎君の一言だったのは知らなかったわ
縁壱「美月が良いなら良いのだろう。それよりまゆは大丈夫か?」
巌勝「美智乃と智勝は元気なのか!?」
まゆ「ぇ、えぇ…元気よ………」
美月「そんなに心配ならお得意の透き通る世界で視たら?お母さんは曲がりなりにも魔王なんだからさ、それ位わかるし雅勝の時の様に死なせないよ」
曲がりなりにもって何っ!鬼灯君と一ノ瀬を見習わなくて宜しい
槇寿郎「俺も孫は無事か気が気でなかった…」
美月「無事も何も、何も無かったからショボーンしないの!(私が妊娠中もこんなだったなぁ(笑))」
デジャヴだわ…美月が妊娠した頃の吉寿郎君とのやり取り。美月、それ以上の感情は入れるんじゃないわよ。絶対に…
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