第33章 悪阻と過保護なパパ達
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槇寿郎「西南西ってどっちだっ」
炎「マジデ言ッテル?」
美月「はーい槇寿郎、西南西はアッチだよぉー。ボケっとしてないで早よ行け!」
槇寿郎「おぉっ」
父上は美月が指差した方向に走って行った。縁壱さんは伝令を聞いた瞬間に屋敷を飛び出して行ったけど大丈夫かなぁ
まゆ「ところで美月。最近父上に厳しくないかしら?」
美月「良くぞ聞いてくれました。知っちゃったの私っ」
父上の知ってはいけない何かを知ったのかしら…?
まゆ「どうしたのよ」
美月「槇寿郎は吉寿郎だった。あの世で誓いを立てた女性が瑠火さんっ」
はぁ!?
まゆ「親子関係が前世と今世で逆になったのね。母上とはあの世で誓いあった仲かぁ。素敵♡」
美月「そういう問題じゃないの!槇寿郎があまりにも吉寿郎に似てるから冗談半分で調べたらさぁ、マジだったわけよ」
まゆ「今更よね。未練ないんでしょ?それなら如何でも良いじゃないの」
美月「…………」
まゆ「もおぉ黙り込んじゃってっ」
私の話の後、暫し無言だった美月が話出した
美月「何か切ない様な何な様なぁ。あの世で一言有っても良さ気じゃない?離縁して別れたわけじゃないんだからさっ」
まゆ「何とも思わなかったのに?父上に記憶ないんだから忘れなさいよ。言っておくけど、父上と母上の仲を壊そうとか思わないでよね」
美月は「別にそんな事思わないし。仲良くいてほしいよ」と言いながらも、ほっぺたを膨らませた
槇寿郎「俺が如何かしたか?」
巌勝「ただいま。そこで一緒になってな」
縁壱「なんの話をしていたんだ?」
まゆ・美月「「うぉっ!?」」
帰りが早過ぎるわよ。まぁ、三人の足の速さや強さを考えれば不思議ではないけどね
まゆ「お帰り!吉寿郎君って美月の人間時代のムグっ…むーむーっ」
美月「お母さんは黙って!槇寿郎、何でもないからご心配なくっ」
槇寿郎「気になる…」
縁壱「お義父さんの前世が吉寿郎君だと云うことか?お父さんは知ってたがお前は知らなかったのか」
父上が「本当か!?」と目を見開き、巌勝さんは「お義父さんに記憶が無いのだし、美月とて夫が居るではないか」と、私と同じ事を言った
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