第3章 運命の歯車
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ガコッ
竜「だったら何でアノ時無理にでも忠義殿や父上を説得しなかったんだよ、もう遅い!!まゆは嫁ぎ先で幸せになるんだ!!」
巌勝「ぐっ…私だってそうしたかった。離れたくなどなかった」
巌勝は倒れこそしなかったが口元を腫らし血を流していた。しかし二人が本気ならと、応援していた竜としては気に食わない。アノ時にまゆが何と言おうが、巌勝が双方の父を説得し漢を見せるべきだったのだ
竜「巌勝には家庭がある。もうまゆの事はお前には関係の無い事だ。頼むから忘れてくれ!」
巌勝「嫌だ、自分が女々しいのは分かっている。だが今もまゆ愛してる…これからも変わる事はない!」
巌勝が本気なのも、今も変わらずまゆに想いを寄せている事も竜にも分かっていたからこそ隠さなければならなかった
まゆが鬼殺隊の最終選別に行った事がわかれば巌勝は発狂するだろうと竜は思っている。それどころか妻は疎か子供すら捨てる。この男は今そんな勢いなのだ
竜「祝福してやってくれ。本当に遠いからさ、俺達すら会えるかわからねーからよ…」
巌勝「まゆ…」
巌勝はその場で膝を折り、愛する女の名を呟いた。何度となく呟いた名前だが今程絶望は無かった。まだ好機は来ると思い、連れ去れば良いと思っていたのだから
竜「…すまん。俺からはこれ以上言えねーわ」
巌勝「あぁ、こちらこそすまなかった…」
巌勝の何時もの堂々たる態度は無く、竜も少しばかり心を痛めていた
ー回想終了ー
★回想は、それ程出てきませんが今度からはこの形式でいきたいと思います
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