第21章 私の秘密
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黒死牟「縁壱、会うだけ会って見極めてやれば良い…真っ向から否定すれば陽縁に嫌われるだろうな」
杏寿郎「陽縁の性格だと駆け落ちとか有り得るな」
母上と私は溜息をついた。母上が分かってくれるだけでも、私の気持ちは楽になるわ
縁壱「駆け落ちなど許さぬ!」
瑠火「いつかは嫁に行く日が来るのですよ」
まゆ「孫が三人も居るジィジが何してんのよ…」
私と母上が発破をかけるも、縁壱さんは頑なに「嫌だ」「合わない」と言っている。娘の事となると物静かで頼もしい『縁壱お兄様』が嘘の様に『ただの父親』になるのよね
そんな所も好きだけど、今言ったら陽縁に恨まれる位に話が纏まらなくなるわ
縁壱「孫は孫、娘は娘だろう」
槇寿郎「その通り、別だ!隣の大河原の爺さんも『孫には責任が無いから可愛いだけだが、自分の子には責任がある』と言っていた!」
縁壱は「そうですよね、お義父さん」と父上の話に痛く感動している。この場で言ったのは不味かったわね。まさか援護射撃があるなんて思わなかったわ…
黒死牟「うむ…考えてみたら父親としては嫌だな。何処の馬の骨とも分からぬ男と付き合う自体が有り得ぬ故…」
巌勝さんまで援護射撃するの!?
まゆ「相手の男は馬の骨ではないわよ。相手は獄卒で小鬼の茄子(なすび)君よ。会ったことは有るわね?」
縁壱「ある。だが許さん。茄子くんは家庭向きの子ではない」
茄子君が可愛くて凄く良い子なのは、縁壱さんも知ってるでしょうに
黒死牟「まゆ、相手は本気なのか?」
縁壱「女性関係は如何か知らないが、少々不真面目な所がある。友達なら良いが、男女の付き合いとなれば話は別…」
まゆ「何処の誰が、わざわざ魔王の娘を掴まえて遊ぶのよ。二人は学校で学年もクラスも一緒だったし、茄子君の性格は陽縁も分かってるわ!あの子は陽縁を泣かせるような真似しないわよ」
槇寿郎「幼馴染みたいなもんか…なら…いや、しかし…」
確かに茄子君は勉強は苦手で学校でも席に座ってられなかったり、テストでも珍解答するし、未だに仕事の事を半分も憶えてない。だけど明るくて芸術家肌で直感が優れた賢い子
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