第21章 私の秘密
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特には揉めたりせずに皆が引き受けてくれたが、火竜の『火乃華(ひのか)』だけは骨が折れた。私は火乃華に嫌われてるからねぇ…
私達は炎良神社の前に居で立ち尽くしている。実は、非常に声を掛け難い相手なのだ
まゆ「何て声を掛けようかしら」
縁壱「仲が悪いのか…」
まゆ「一方的に嫌われてるのよ…随分と昔に煉獄家の血筋に加護を与えたのは火乃華な筈なんだけど、私の身体にだけは掛かってないのよね。そこまで嫌わなくても良いじゃないのよ。まったく…」
火乃華の協力を得られれば百人力なのよね。あの子は竜神王の血統で強力な神通力を持ってるから
縁壱「そこまで嫌われるとは…何かしてしまったのか?」
まゆ「うっ…私悪くない…玉藻の前が悪い………」
多分…
縁壱さんに急かされ鳥居を潜ろうと足を進めたが、私は入れなかった。何故かって…
バチッ
まゆ「痛っ…弾かれた!?」
結界で弾かれたのよ。ご丁寧に発火付で!
縁壱「大丈夫か?今迄こんな事など無かった筈だが…」
まゆ「侵入しようとしたのが私だって気が付いたのよっ。こら火乃華、火傷したじゃないの!」
火乃華『ふんっ、お前のせいで私は心が火傷したわ!』
心が凍るじゃなくて火傷とか、初めて聞いたわよ!
まゆ「とりあえず姿を見せてくれないかしら。さもなくば竜破斬(ドラグ・スレイブ)をフルバワーで撃つわよ?この辺は民家無いし人の気配も無いからね!黄昏よりも昏きもの 血の流れより赤きもの 時の流れに『やめんか馬鹿たれ!!』」
火乃華は私の詠唱を遮り、千年前と変わらない姿で目の前に現れた
まゆ「最初から素直に出てくれば良いものを!詠唱してあげる私の優しさに感謝しなさい♪」
火乃華「お前の、そういう所が私は大嫌いだ。いい加減理解しろ!おたんこなす」
まゆ「相変わらずで何よりだわ」
おたんこなす?『おたんこなす』という言葉に、凄く愛があると思うのは気のせいだろうか
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